C441話

Last-modified: Sat, 23 Jul 2022 01:08:23 JST (666d)
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「っ、あつくね……?」

 

あまりの暑さに、嫌々目が覚める。

もう厚手は使わないだろうと、薄手に変えた掛け布団はいつの間にか蹴り飛ばしでもしたのか、ベッドの下に落ちていた。

拾いに行く前にスマホでとりあえず時間を見てみると、いつもの起床時間よりも大分早い時間だ。

そろそろ熱中症予防のために、渋々ながらも冷房をかけていたはずなんだが……寝ぼけて消しちまったか……。

ベッドから起き上がり、リモコンの表示を見るとどうやら電源は入っているようだ。

リモコンのスイッチを適当に押してみるが、本体は微塵も動く気配がない。

 

「……げ、もう壊れたのか?」

 

まだ無料保証効いてたっけか……と思いながらもスマホの画面を見ると、バッテリーの容量もやけに少ない事に気がつく。

 

「あー……姉貴、やりやがったな」

 

ベッドへと掛け布団を戻して部屋の照明スイッチを何度か押すが、思った通り何の反応も無い。

 

「……ったく、何度も何度も、ブレーカー落ちたら声掛けろ!って言ってんだろ……」

 

寝汗で張り付いた服が気持ち悪い。

もう二度寝するような時間でも無えしな……と仕事着に着替える。

 

「上げ直すのも俺起こすのも面倒だからって、そのまま寝るなっつの」

 

愚痴をこぼしながら廊下に出ると、困り顔の姉貴がいた。

何困った顔してやがんだよ。姉貴のせいだろ、姉貴の。

 

「あ、ユウヒ」

「おい姉貴、ちゃんとブレーカーを」

「違うのよ」

「何が違うんだよ……」

「停電してるんだって」

「……は?」

「だから、停電。電気使えないのよ」

「なら姉貴のせいじゃ」

「勝手に私の責任にしないでくれる?私がブレーカー落としたからって上げ直さない……わね」

 

そこは上げ直せよ。