C437話
freeze
「アキさん!今日のおれ、どうでしたか!?」
「最初は緊張し過ぎててちょっと面白かったけど、かっこよかったよ」
「本当ですか!?おれ、アキさんに並べる男になれるようにもっともっとがんばりますね!」
「そんな無理に頑張らなくたって充分……」
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うーん、空回ってんなあ。
姉貴に視線を向けると思わず目が合い、お互いに苦笑する。
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「あ、そうだ……こういうのって、結構お金がかかってるんじゃ……」
「ハニー、心配しないで。お代は大丈夫だよ」
「実は既に違う方からお代はいただいていまして」
「そうなんですよアキさん!真田?さんって人が、僕が払うから気にしないで、って」
「えっ!?ならちゃんとお礼しないと……」
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姉貴が窓から覗いている隙間から視線をやると、見えたのは未だに電話している姿だった。
一時間はたっぷり経ってるぞ?どれだけの長電話なのか、そんなに何件も電話があるのか。
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「今ハニーは外で電話しているみたいだね。タイミングを見て私が声をかけてくるよ」
「いえ!私達がお礼する方なので、私達から行きます」
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姉貴とアキさんがやり取りしているうちに、電話を終えたようだ。
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「電話が終わったみたいですよ」
「ならお礼してこなきゃ!シュウ、行くよ」
「は、はいアキさん!先に行ってますね!」
「私も挨拶してすぐ行くね……アサヒさんもユウヒさんも、本当にお世話になりました」
「ハニーのためならお安い御用だよ❤️」
「快適な時間を過ごせたのなら何よりです」
「シュウにはちょっと恥ずかしくて言えなかったんですけど……惚れ直しちゃいました」
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そう言って笑顔でシュウへ向かうアキさんを今回はいつもと違い、あえて外には出ずに見送る。
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「青春だねぇ……ハニー達の中で、良い思い出になってくれるといいね」
「今回は姉貴と同感だな」
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なんだか、妙にさわやかな気持ちになったな。
さて、次の客のためにも動かねえとな、と独り言を呟いて後片付けを始めた。