C437話

Last-modified: Mon, 27 Jun 2022 23:14:40 JST (691d)
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「アキさん!今日のおれ、どうでしたか!?」

「最初は緊張し過ぎててちょっと面白かったけど、かっこよかったよ」

「本当ですか!?おれ、アキさんに並べる男になれるようにもっともっとがんばりますね!」

「そんな無理に頑張らなくたって充分……」

 

うーん、空回ってんなあ。

姉貴に視線を向けると思わず目が合い、お互いに苦笑する。

 

「あ、そうだ……こういうのって、結構お金がかかってるんじゃ……」

「ハニー、心配しないで。お代は大丈夫だよ」

「実は既に違う方からお代はいただいていまして」

「そうなんですよアキさん!真田?さんって人が、僕が払うから気にしないで、って」

「えっ!?ならちゃんとお礼しないと……」

 

姉貴が窓から覗いている隙間から視線をやると、見えたのは未だに電話している姿だった。

一時間はたっぷり経ってるぞ?どれだけの長電話なのか、そんなに何件も電話があるのか。

 

「今ハニーは外で電話しているみたいだね。タイミングを見て私が声をかけてくるよ」

「いえ!私達がお礼する方なので、私達から行きます」

 

姉貴とアキさんがやり取りしているうちに、電話を終えたようだ。

 

「電話が終わったみたいですよ」

「ならお礼してこなきゃ!シュウ、行くよ」

「は、はいアキさん!先に行ってますね!」

「私も挨拶してすぐ行くね……アサヒさんもユウヒさんも、本当にお世話になりました」

「ハニーのためならお安い御用だよ❤️」

「快適な時間を過ごせたのなら何よりです」

「シュウにはちょっと恥ずかしくて言えなかったんですけど……惚れ直しちゃいました」

 

そう言って笑顔でシュウへ向かうアキさんを今回はいつもと違い、あえて外には出ずに見送る。

 

「青春だねぇ……ハニー達の中で、良い思い出になってくれるといいね」

「今回は姉貴と同感だな」

 

なんだか、妙にさわやかな気持ちになったな。

さて、次の客のためにも動かねえとな、と独り言を呟いて後片付けを始めた。