C435話

Last-modified: Mon, 27 Jun 2022 23:11:58 JST (691d)
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「ま、こんなもんだろ」

 

シェイクがそれなりだった真田?はともかく、意外にもシュウの飲み込みが早くて助かった。

明日も教えてくれなんて言われても嫌だしな。

明日はその翌日の仕込みをしておきたいし、俺だって少しくらい休みたい。

 

「じゃぁ、今からキッパーを呼んでいい?」

「はあ!?何言ってんだお前!」

「え?僕の練習の成果を見たくないの?」

「いや、だからって急に……今日の今日はおかしいだろ!」

 

これから特別営業とかふざけんなよ。

明日休みだからってマジでろくな仕込みもしてねえし……。

 

「だって、呼んだら来てくれると思うよ?」

「姉貴だって、なあ?急に今日とか言われても」

「別に私は構わないよ。何たって、ハニーの頼みだからね」

「ハニー?よくわからないけどオッケーなら問題無いね」

 

そうだった、姉貴はそういう奴だった……最後の砦とばかりにシュウに振る。

 

「……そ、そうだ、なあシュウ、お前も急に呼び出して相手が来るとは限らないよな!」

「ええっ!?いきなりアキさんに電話するなんて……か、代わりにユウヒさんが電話して下さい!」

「嫌に決まってんだろ」

「冗談ですよ、ででで電話わをしてきま、っす!」

「大丈夫かよ……」

 

そこまで緊張する事か?

まともに電話できるのか不安になるな……。

 

「キッパー、来てくれるって」

「マジかよ……」

「まぁまぁ、特別営業になるんでしょ?その分のお金は払うからさ。このくらいで足りるかな?」

 

そう言われて置かれた紙幣達の枚数を視線だけで数える。

 

「……本気か?」

「冗談でお金の話をするような真似はしないよ」

「なんだよ、金を払うならちゃんと言えよな!」

 

つい笑顔で冷蔵庫の中身を確認しに行き、何か用意できるつまみが無いか確認する。

ふざけんな、ろくなもんがねえじゃねえか!

俺の計画性の高さが今は憎い。

とにかく頭の中で足りない物をリストにして、とりあえずメモ帳に書き記していく。

普段の伝票よりもはるかに汚え字ではあるが、今は俺だけが読めればいいから問題はない。

 

「ア、アキさん、アキさんが!」

 

今にも泣き崩れそうな顔で、ふらふらと戻ってきたシュウを見て察する。

気の毒だとは思うが、俺の知った事ではねえな。

 

「ハニーがどうしたの?」

「来て、くれる……そうです……っ!」

 

いや、いくらなんでも大袈裟過ぎるだろ!

買い出しに二人分追加で計算をし直す。

面倒ではあるが、その分の金が入ると思えば辛くはない。

 

「姉貴、ちょっと買い出ししてくるから頼むな」

「任せて」