20151224前日譚3

Last-modified: Sun, 21 Apr 2019 00:06:06 JST (1855d)
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楓「うおおおおおおお……あれ?何で走ってたんだっけか?……忘れた……というかここどこだよ」

 

マッダー「随分と独り言の大きな神様も居るんだね」

 

楓「あ、お前はアポステルのとこの……確か……えっと……兎!」

 

マッダー「いや、確かに兎ではあるけどね」

 

楓「お前の肉でもいいから肉をくれ!」

 

マッダー「それはキッパーに聞いてみないと何ともかなぁ……たぶんダメだけど」

 

楓「吸血鬼なら城か?」

 

マッダー「えぇと今なら……うん、時間的にも大丈夫そうかな?」


楓「うわっうるさっ!笛鳴らすなら鳴らすって言えや!」

 

キッパー「何事だ!?」

 

マッダー「キッパー、お願いが有って呼んだんだ」

 

キッパー「……その程度で呼んだのか」

 

マッダー「なら無断で僕が居なくなるけど良いのかい?」

 

キッパー「どういう事だ?」

 

マッダー「この神様が僕を欲しいって」

 

楓「言ってねぇから!」

 

マッダー「僕の一部でもって言ったじゃないか」

 

キッパー「……最初から話せ」


楓「……と言う話」

 

キッパー「鶏肉だと?……厨房に聞かねばわからんな」

 

楓「有るならくれ!」

 

マッダー「ならお礼に何をくれるんだい?」

 

楓「えっ……今金無いしな……どうしよ」

 

キッパー「無償提供しろと?虫の良い話だな、断る」

 

楓「あ、今度リゾート!南国リゾートに連れてく!吸血鬼には珍しいでしょ海なんて」

 

マッダー「海なんて流水その物じゃないか!」

 

楓「あ、やべ……」

 

キッパー「相手の特性も知らずに提案するとは随分と思い上がった神だな、交渉の余地など無い」

 

マッダー「と、言うみたいだから無理みたい……キッパー、待ってよ!」

 

楓「あー、完全に下手こいた……」


楓「頼もー!」

 

ラム「残念ながら今日ハお休みノ日なんデスよ」

 

楓「待って待って待って閉めないで話だけでも聞いて」

 

ラム「……宜しけレバ中へお入リ下さい」

 

楓「ぃよっし!」

 

ラム「ソレで……用件ハ何デスか?」

 

楓「いや実はこんな事が有ってだな……」

 

ラム「鶏肉ハ取り扱ッテ無いんデスよね……」

 

楓「えっじゃあこのメニューの唐揚げは何肉だよ」

 

ラム「揚げる直前ノ物を入荷していマスので鶏肉デスよ」

 

楓「あ、そういうパターンの奴ねはいはい……」

 

ラム「この辺りノ飲食店ナラ有るのデは?」

 

楓「まず戸を開けてくれん」

 

ラム「ソレは……お気ノ毒に」

 

楓「他にも当たってはみるけどたかが鶏肉でこんな事になるとは……」

 

ラム「されど鶏肉トいう訳デスね」

 

楓「財布、取りに帰るかなぁ……」

 

ラム「コッソリならバレないかも知れマセンしね」

 

楓「それが出来たら苦労しねぇわ……んじゃ」


永住人「早く楓帰ってこーい……」

 

樹「楓さんがどうかしたんですか?」

 

永住人「特に何も別にないよ」

 

樹「怪しいですね……」

 

永住人「どこが?……とりあえず早くご飯の支度してよ」

 

樹「そうですね、クリスマスの為の仕込み、も……鶏肉が無い?」

 

永住人「あっ」

 

樹「……楓さんはどちらへ行かれたんですか?」

 

永住人「し、知らないし」

 

樹「見掛けたら教えて下さい」

 

永住人「う、うん、わかった」

 

樹「仕方がないので鶏以外から進めて……」

 

永住人「楓、ごめんバレた……!」

 

楓「ただいまー、財布取りに来ぅおわっ!」

 

樹「楓さん?」

 

楓「待ってコレには深い訳がうおおおおお」

 

樹「待ちませんよ!」

 

楓「と、とにかくこの扉へ……!」

 

永住人「その扉どこ行きだったっけ?」

 

樹「ウィザードリィスコラ、プシュケの保健室です」