20151224前日譚2

Last-modified: Sun, 21 Apr 2019 00:00:48 JST (1855d)
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史徒「カッ……カッカッ……」

 

楓「河童としてなら笑いは堪えろやオイ」

 

雷火「史徒をカツアゲしてんの!?そんなのヒドイよ!」

 

楓「ひっでぇ誤解」

 

史徒「いや……カツアゲなどされていませぬとも」

 

雷火「何その変な喋り方!?脅されてるの!?」

 

楓「脅してねぇし……別にフランクでいいし」

 

史徒「この神は鶏肉を寄越せと仰せだ」

 

雷火「やっぱりカツアゲじゃ……ん?神様?」

 

楓「おーいぇす、私神よー」

 

雷火「って事は……」

 

史徒「供物という事だ」

 

雷火「ヒドイ神様だ!」

 

楓「……え?なんでそうなんの?え?」

 

史徒「カッカッカッカッカッ」

 

楓「笑ってんじゃねぇテメェ!」

 

史徒「クァッ!?」

 

雷火「ほらすぐ怒鳴るし!」

 

楓「誤解が誤解を生んでいる……ここが地獄か」

 

史徒「此の程度、地獄と呼ぶには些か生温い物です」

 

楓「と、とにかく鶏肉!鶏肉くれ!」

 

雷火「鶏肉?干してるので良いの?」

 

楓「干し肉のフライドチキンは……いや、怒られるから無しだな」

 

雷火「あとは無いなぁ……」

 

楓「誤解された上ヒドイと罵られ鶏肉も無いとか」

 

史徒「運の無い時も有りますともそうですとも」

 

楓「ウルセェそのシダ引き千切んぞ」

 

雷火「ソレは私が史徒にあげた物なの!ダメ!」

 

楓「……あーもう!面倒臭ぇ!此処に鶏肉は無いんだろ!?行くわ!」

 

雷火「あっ……飛んでっちゃった」

 

史徒「嗚呼肩が凝った、神を相手にするのは疲れる物だね」


楓「小煩い奴の居ない所にしよう……とにかく鶏肉だ鶏肉」

 

輪音「鶏肉の事で何かお困りかしら?」

 

楓「ピンポイントな聞き方」

 

輪音「今日のお薦めは棒棒鶏よ」

 

楓「あ、そういう困り方では無いから」

 

輪音「何なら受付で聞くわよぉ?」

 

楓「受付?……あぁギルドか」

 

輪音「1名様ご案内よぉ」

 

昴「ちよおおおっと待った!!」


楓「うわぁクソうるせぇガキが来た」

 

輪音「ギルド長をガキなんて勇気有るわね、クソうるさいは否定しないけど」

 

昴「しろ!否定しろ!後お前何の用だ帰れ」

 

楓「聞いてんのか追い返してんのかハッキリしろ」

 

昴「神なんかが頼む案件なんざ無ぇだろ?」

 

楓「鶏肉」

 

昴「は?鶏肉?」

 

楓「寄、越、せ」

 

昴「金」

 

楓「えっ」

 

輪音「あらぁ、お金持って無いの?」

 

楓「ツケは」

 

昴「利く訳無ぇだろ」

 

楓「ッチ、使えねぇ超能力者だな」

 

昴「一文無しに言われたくねぇよ」

 

輪音「お金が無いなら無理よねぇ?」

 

楓「マジでか……あ、じゃあ金くれ」

 

輪音「斬新かつ大胆な依頼ね」

 

昴「神が物乞いするなよ」

 

楓「フライドチキン作る時に鶏肉無かったら樹っつぁん絶対怒るから!怒ると怖ぇし!」

 

昴「フライドチキン?」

 

楓「当てあるのか!」

 

輪音「ギルド長まさか」

 

昴「そのまさかだ、ちょっと本部まで来い」

 

楓「馬車で?」

 

昴「いや、瞬間移動で良いじゃねぇか」

 

楓「まぁ言ってみただけだしな」

 

昴「先行ってるからな」

 

楓「あー良かったこれで怒られずに済みそうだ……」


昴「おいミナギリ居るかー?」

 

至「ミナギリー?居ないよー!」

 

昴「よっし……じゃあコレを包んでっと」

 

楓「何そのダークマター的な何か」

 

昴「うおおおっ!?」

 

楓「いや瞬間移動で来いって言ったからお前の隣に来たんだけど」

 

昴「玄関使えよ」

 

楓「お前もな」

 

水霧「何してるの」

 

昴「お、おい二荒!話が違ぇぞ……って居ねぇ!」

 

楓「とにかくそんなゴミいらないから」

 

水霧「ゴミじゃなくてフライドチキン」

 

楓「ゴミだろ生ゴミ、いや、生ゴミですら無いか……?」

 

昴「お、おいやめろ!」

 

水霧「ゴミなんかじゃないけど」

 

楓「おうっ!?危なっ!ナイフ振り回すなよ!」


楓「……ったく、ちゃんと躾してくんないかな」

 

昴「なんで地雷を的確に踏んでいくんだよ!」

 

水霧「誰が私を躾するって」

 

楓「え、めっちゃ怒ってる?……それじゃ!」

 

昴「おいお前ふざ」

 

水霧「これのどこがゴミなの」

 

昴「おお俺にはゴミに見えねぇからナイフを降ろせ、な?」


楓「エライ目にあった……まさか神に楯突く人間が居るなんてな……面白いの飼ってるなあいつ」

 

ながし「あっ、アナタはいつかの!」

 

楓「……そういや兎って鶏肉の代用にするよな」

 

ラバック「ながし急いで逃げるよう!」

 

ながし「目がイかれてますあの方!何ですか!?」

 

楓「そうだよな何とか誤魔化せそうだよな兎肉」

 

ながし「凄い早い!凄い早いですよ!?このままでは追い付かれそうです!」

 

ラバック「こ、このまま走り続けるしかねぇよう!」

 

楓「待て兎肉!」

 

ながし「ひいい!……あ、あれ?」

 

ラバック「追い抜いてったよう……」