終わりの始まりなどではない
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「うーん……そろそろ私と弥彦の分は終わりにするかなぁ」
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「ぼうじまぜん……ずびばぜんでしだ」
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ロープで縛られているこの夢じ……いえ、夢魔をここまで執拗に殴ってもいいものでしょうか?
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いいえ、よくありません!ある事なんてありませんともっ!
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……ですが、もう殴られるのは痛みも超えて結構なハイ気分。
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自分はかしこいので、こうしてプリプリと相手が怒っている手前反省する振りだけでもしておきましょう。
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いつかまた成り上がってやりますよ、へっへっへ……とか思っていたのに、次の言葉に絶句する自分なのでしたあ!
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「そうそう、もうお前に神核は付着しないようにしといたから」
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「ぁ……ぇ……?」
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「いや、再発防止策をとるのは当たり前でしょ?」
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ぬぬぅ、確かにそう言われてしまえばそうなんですけども。
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ですが……ここで諦めたら自分の華麗なる成功への道が閉ざされてしまう、そんなの、絶っっっ対に許せないですねっ!
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ああっそんな違う色の瞳で睨んでくるなんてひどいいぃ……。
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「えぇとぅ……、それって、いつか解除されちゃったり!とか……?」
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「お前本当に反省してんのか?もう1発殴ろうか?」
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「いえいえいえ結構!もう十二分に反省致しましたともっ、ですからもう痛いのはやめて下さい!」
縛られてる中、出来うる限り美しさに重きを置いた土下座をして許しを請う自分。
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あぁ、なんて無様なのでしょう?
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ですが、もうこの際無様だろうが何だろうがどうだって良いのです!
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いいんですそれで……いえ、いいんですよこれで!
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「さて、後はどこに連れ回すかだけど……面倒だし全員でいっか」
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「な……なんのお話なぁんでしょうか……?」
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「え?さっき言ったでしょ、私と弥彦の分は、終わったって」
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「……いやちょ、どういう……」
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意味を知っていて聞く……だって、聞いて欲しそうなんですもの!
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願いを叶えて差し上げるのが自分の使命ですからね!
「市中引き回し、って事よ」
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「シチュー?ひくの大変そうですねええぇ、えぇ、大変ご苦労様ですぅ」
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何かとても不安しか残らないようなお言葉を頂いたような気がしますがきっと幻聴です気のせいです。
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「謝罪行脚、しような」
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あぁやっぱり幻聴でも気のせいでも無かったっ!!
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縛られたままなのですが、文句を言う気持ちにもならずそのまま引き摺られていくしかない自分なのでした……。