多量の瞳に大量の飯
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あっちを見ても、こっちを見ても、ご馳走だらけ!
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食べても食べても間に合わないのに、なぜかあったかい料理は熱々で、つめたい料理はキリッと冷えていて。
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出来立ての料理がこんなに並んでて、しかも食べ放題!
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僕、今とっても幸せだなー!
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「夢の加減はいかがでしょうか!まぁ当っ然、お気に召しているとは思うんですけれどぉ……一応感想を聞いておきましょう!」
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「最高ー!」
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話しかけてきた相手が何者なのかはよくわからないけど、こんな最高の夢を見せてくれるんだからいい奴なんだろーなー。
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ふと、気づく。
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「ねー!そう言えば君誰なのー?」
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「自分は夢神というモノですよぉ、モルフィウム・パンタイクロイと申しますぅ!そうそう、気軽にモルフィって呼んじゃったりして下さいね!?」
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「むじんモルフィー?聞いたことないやー」
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「自分しか名乗っていませんからね!……あ、そうそう!何かご要望などあればな、ん、な、り、と!なんなりと!お申し付け下さいねっ」
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「要望かー……」
こんなご馳走の山の他に欲しいもの?
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うーん、うーん、何だろう……。
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「そうだー!」
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「何かございますか?ございますか!?さぁ願い事を口に出して、どうぞうっ!」
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「友達とかって呼べたりしないのー?」
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「お友達ですか?勿論良いですともっ!是非とも、招待させて下さーい!!!」
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両手を広げてグルグルと回ってるモルフィは、とっても楽しそうだった。
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僕も楽しい、ペッポーもここにきたらきっと楽しい、この夢神も楽しい。
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それって、すっごくいい事だよね!
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「で、す、がぁ……ひとつ、たったのひとつなんですが、大きなひとつの問題がありましてぇ……」
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「なにー……?」
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腰をクネクネと横に振りながら勿体ぶるモルフィ。
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人差し指を立て、僕に突き出しながら告げてきた。
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「自分、特定の夢に誰かを呼ぶって事が出来ないんですよぉ……あ、眠りに誘う事は出来るんですけどねっ!」
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「どういう事ー?ペッポーは来れないのー?」
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「そのお友達のお名前ですかね?ペッポーさんがあなたの夢に入りたい!どうしてもっ!って思って眠っていただかないと……
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ちょーっと、自分の力だけでは厳しいんですよねえ、かなしっ!」
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「なんだー、呼べないのかー……」
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「お力になれなくて大っ変!申し訳ないですううぅ」
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ニヤニヤ笑いながら謝ってくる姿にちょっとイラッとする。
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ペッポーは、ペッポーの好きな夢を見るだろうから会えないのかー……。
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でも、僕も僕なりに幸せだし仕方ないか!
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きっと、ペッポーもペッポーなりに幸せな夢を見るんだろうし!
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「ですがぁ……自分の力が強くなれば、そう!強くなれば!お互いの夢同士を繋げられるようになるのです!
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そしたらペッポーさんの夢とお繋ぎいたしましょう!お約束します、えぇ、絶対に!」
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「えー、それっていつー?」
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口元に手を当てて、耳打ちしてくる言葉は、僕にとって嬉しいニュースだった。
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「今、自分、とても良い魔力の供給源を確保しようとしてましてぇ、それが叶えばすぐにでもですよぉ……!」