多量の瞳に大量の飯

Last-modified: Sat, 18 May 2019 20:35:05 JST (1827d)
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あっちを見ても、こっちを見ても、ご馳走だらけ!

 

食べても食べても間に合わないのに、なぜかあったかい料理は熱々で、つめたい料理はキリッと冷えていて。

 

出来立ての料理がこんなに並んでて、しかも食べ放題!

 

僕、今とっても幸せだなー!

 
 

「夢の加減はいかがでしょうか!まぁ当っ然、お気に召しているとは思うんですけれどぉ……一応感想を聞いておきましょう!」

 

「最高ー!」

 
 

話しかけてきた相手が何者なのかはよくわからないけど、こんな最高の夢を見せてくれるんだからいい奴なんだろーなー。

 

ふと、気づく。

 
 

「ねー!そう言えば君誰なのー?」

 

「自分は夢神というモノですよぉ、モルフィウム・パンタイクロイと申しますぅ!そうそう、気軽にモルフィって呼んじゃったりして下さいね!?」

 

「むじんモルフィー?聞いたことないやー」

 

「自分しか名乗っていませんからね!……あ、そうそう!何かご要望などあればな、ん、な、り、と!なんなりと!お申し付け下さいねっ」

 

「要望かー……」


こんなご馳走の山の他に欲しいもの?

 

うーん、うーん、何だろう……。

 
 

「そうだー!」

 

「何かございますか?ございますか!?さぁ願い事を口に出して、どうぞうっ!」

 

「友達とかって呼べたりしないのー?」

 

「お友達ですか?勿論良いですともっ!是非とも、招待させて下さーい!!!」

 
 

両手を広げてグルグルと回ってるモルフィは、とっても楽しそうだった。

 

僕も楽しい、ペッポーもここにきたらきっと楽しい、この夢神も楽しい。

 

それって、すっごくいい事だよね!

 
 

「で、す、がぁ……ひとつ、たったのひとつなんですが、大きなひとつの問題がありましてぇ……」

 

「なにー……?」

 
 

腰をクネクネと横に振りながら勿体ぶるモルフィ。

 

人差し指を立て、僕に突き出しながら告げてきた。

 
 

「自分、特定の夢に誰かを呼ぶって事が出来ないんですよぉ……あ、眠りに誘う事は出来るんですけどねっ!」

 

「どういう事ー?ペッポーは来れないのー?」

 

「そのお友達のお名前ですかね?ペッポーさんがあなたの夢に入りたい!どうしてもっ!って思って眠っていただかないと……

 

ちょーっと、自分の力だけでは厳しいんですよねえ、かなしっ!」

 

「なんだー、呼べないのかー……」

 

「お力になれなくて大っ変!申し訳ないですううぅ」

 
 

ニヤニヤ笑いながら謝ってくる姿にちょっとイラッとする。

 

ペッポーは、ペッポーの好きな夢を見るだろうから会えないのかー……。

 

でも、僕も僕なりに幸せだし仕方ないか!

 

きっと、ペッポーもペッポーなりに幸せな夢を見るんだろうし!

 
 

「ですがぁ……自分の力が強くなれば、そう!強くなれば!お互いの夢同士を繋げられるようになるのです!

 

そしたらペッポーさんの夢とお繋ぎいたしましょう!お約束します、えぇ、絶対に!」

 

「えー、それっていつー?」

 
 

口元に手を当てて、耳打ちしてくる言葉は、僕にとって嬉しいニュースだった。

 
 

「今、自分、とても良い魔力の供給源を確保しようとしてましてぇ、それが叶えばすぐにでもですよぉ……!」

 
 
 

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