反抗する事もまた自由

Last-modified: Sat, 18 May 2019 23:05:46 JST (1827d)
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一斉に天狗達が目覚め、何が原因だったのかを漸く把握した。

 

クソっ、この天魔の俺様が出遅れるなんてなァ!?

 

無能な俺様に腹が立ち、意味も無く大空へと羽ばたいていく。


「……何だァ、ありゃァ?」

 
 

空を飛んでいると、見知らぬ物陰のヤツが地面を引き摺られていた。

 

……恐らく、アレが黒幕ってヤツだよなァ?

 

そう思い至ると、アレの土手っ腹に向けて右足を伸ばしながら急降下する。

 
 

「ぶぎゃんっ!?」

 

「いって!?え、なんだよ?……あぁ、天狗の頭領か、なら仕方ねぇわな」

 

「……げっほごふ、ぐっ、ぐぅぅぅぅ……」

 

「ほらほら謝る謝る!ちゃんと経緯も説明して!ほらはやく!」

 

「モッ……モルフィウム・パンタイクロイ……この夢魔が皆様を眠らせていましっごほっ!?……いました……」

 
 

その後も時折咳き込みながら説明してきやがる夢魔。

 

聞き取りずれェじゃねェかァ……コイツ、俺様の事をナメていやがんなァ?

 
 

「最初から言い直すのが筋ってモンじゃねェのかァ!?」

 
 

もう一度蹴りを食らわせてやろうと右足を上げたが、そのままの姿勢で身体が動かねェ。


俺様にこんなふざけた真似が出来るのは神くれェなモンだ。

 

……その色眼鏡ごと、俺様に不愉快な視線をくれてくる目玉潰してやろうかァ?

 
 

「おい、既に1発食らわせただろ」

 

「……」

 

「追撃するなら、」

 

「ならもう興味は無ェよッ!」

 
 

動かねェと言いつつも、全く動けねェ訳でもない。

 

無理矢理羽を広げ、地面を蹴り飛び上がり視線を下に向ける。

 

手を額に当てて俺様を見上げてくる神。

 
 

「おーおー、頑張るなぁ……」


指を鳴らす音が聞こえ、抵抗が無くなる。

 

……あの夢魔ってヤツには、近いウチに礼でもくれてやらねェとなァ。

 

羽に力を籠め、一気に空を駆け抜けた。

 
 
 

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