まだひとつしか知らない故の自信
freeze
「ふっふーん、僕は言われなくても知ってるんだぜ?すごいだろ?なぁなぁ、すごいだろ!?」
br
br
鼻息荒く胸を張る僕。
br
ほら、みんな僕の事尊敬するに決まってるし、次に来る言葉もわかってる。
br
なんてったって、僕は不死身の妖怪だからな!
「成る程、そう言う事デシたか」
br
「いやー話が早くて楽だねぇ、お前も楽出来て良かったじゃん」
br
「そうですねぇ何度も何度も同じ説明させやがりまして本当に何様のつもりかと思っていましたとも困っちゃいますよねえぷんぷん!」
br
「私は神様だっつってんだろ」
br
br
……そう思ってたのに、僕を無視してどんどん会話が進んでいく。
br
なんでだよ!
br
両腕を上げて振り回し、僕の存在をアピールしながら抗議する。
br
br
「僕を無視すんなー!僕はアイツを降参させたんだぞ!」
br
「え、マジで?嘘でしょ?」
br
「本当のようデスよ」
br
「マジかお前!」
br
br
ジ、ジロジロと不躾に見てくるサングラスだな!
br
本当の事だっていうのに、サトリに確認とってくるし。
br
……そういうのは失礼なんだぞ!?
br
br
「疑うなよ!な、またリベンジマッチしような、って約束したもんな!」
br
「あのおぉ、その事なんですけれども……ちょーっとばかりなんですが問題が発生しましてえ……」
br
「え?何があったんだよ」
br
br
何故か気まずそうにクネクネと踊りだす夢神。
br
そんな夢神に対しグラサンが指をさし、説明してきた。
「あ、コイツもう雑魚だから」
br
「……いやいやいや、もっと強くなる!って言ってたぜ?」
br
「お前がどう言おうがどう約束してようがコイツはもう強くならねぇの……まぁ、雑魚は雑魚同士で戦うなりつるむなりしたら?」
br
「僕はザコじゃない!」
br
「死なないだけなんだろ?確か」
br
「私に振らナイで下さイよ……私はタダの、か弱イ酒虫サトリですカら……」
br
br
なんでだよ、なんで、弱くなっちゃうんだよ!
br
今は弱いのかも知れないけど、強かった時のコイツに降参を言わせた僕なんだぞ!?
br
そんな僕が弱い訳ないだろ!?
br
……たぶん。
「随分と弱気ナンですね」
br
「やめろ!僕の心を読むな!」
br
「ソレは中々難シイご相談デスよ……離れて頂クのが一番かと」
br
「ぐぬぬ……な、なら仕方ないな、僕の方から離れてやるよ!感謝しろよな!」
br
「ハイハイ、感謝しマスとも」
br
br
別に心を読まれるのは怖くない。
br
……本当だ。
br
本当の本当に、本当だぞ!?
br
僕は死なないんだぞ?
br
生きてる奴は、死ぬのが一番怖いんだろ?
br
なら、この僕は不死身なんだから、怖いもんなんかないはずだ!
br
僕は、僕自身に言い訳をしてこの店から飛び出して行った。