そしてまた日常は訪れる

Last-modified: Sun, 19 May 2019 00:19:48 JST (1827d)
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ケイロの領域である水中から追い出される。

 

周辺を見渡す限りでは、ここはホワイトカラーの外れといったところだろう。

 
 

「ぃやったぁ!三十六計逃げるが勝ちですねっそれではまたいつかお会いしましょうイエエエエイ!」

 

「……うーん、ありゃ反省したって言いながらまたやらかすパターンのやつだな……」

 
 

かといって追いかける気にもならず、放っておく事にする。

 

モルフィウムにしろ、ケイロにしろ、やらかしたならまたしばけばいい。

 

そうやって周りの自由を奪って、私は自由に生きていくだけだ。

 
 

「……さて、たまには帰るかね」

 
 

誰に言うでもなく、空中に向けてひとりごちる。

 

被っていた帽子を外し、楓の葉を取り出して握り潰す。

 

掌を広げ、粉々になったそれに口をつけると彼女の姿が霧散した。

 
 
 

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