C47話 のバックアップ(No.1)


夕飯も食い終わり、飲み物も減ってきたところで呟き声が聞こえた。

 

「トゥヴァンさん、遅いなー……」

 

そろそろ夜も更けてくる頃だ。

最悪警察に……と思っていたら乱暴にドアが開き、ベルがけたたましい音を立てた。

 

「すまんスリート!遅くなった!!!」

 

大声で叫びながら風花の座る椅子まで走ってくる女。

コイツが鳥羽って奴なんだろう。

 

「あ、トゥヴァンさん!遅いですよ!」

「すまんすまん、メシ食ったか?腹減っただろ」

「ご飯は、ハルさんとシュンさんにご馳走になりました!」

「ん……?どういう事だ?」

「あー、俺が説明しますよ」

 

俺が説明した方が早そうなので、掻い摘んで説明した。

 

「私も店をやってるから言うが、代金無料って本気か?」

「……まぁ、色々あったんで」

 

主に姉貴のせいでな。

2人に向き直り、綺麗な直角に腰を曲げる鳥羽。

 

「ハルさん、シュンさん、この恩はいつか返す」

「そんなに気にしなくていいのに」

「いや、そうはいかないだろう!何をどう言っても馳走に預かったのは事実だ」

「トゥヴァンさ……ふぁ」

「ほら、風花ちゃんも眠いみたいですし」

「……ありがとう、帰るぞスリート」

「はい……さようなら」

「ばいばーい」

「またいつか」

 

手を引っ張って帰っていく2人。

……たった数分なのに、どっと疲れた気がした。

嵐みたいな女だったな、鳥羽……。

 

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