C424話 のバックアップ(No.1)


「ありがとうございました❤️またきてね❤️」
「ありがとうございました」

本来の閉店時間を大幅に超えて帰った最後の客を見送ると、まずレジを締める。
これが一日の最後にある、最大のイベントだ!

「さあ、今日の売上はいくらだろうな」
「ユウヒ……いくらハニー達が帰ったからとはいえ、すぐにお金の話するのは良くないよ」
「べ、別にいいだろ!」

反論らしい反論も出来ないまま、手だけはスピーディに動かして今日の売上額を確認する。
思わず笑みがこぼれる額だ。
いやー、売上的にもイベント的にも大成功だな!

「……姉貴、額聞くか?」
「面倒だからいい」

だろうな……ある意味、これでこそ姉貴だ。
共有したい気持ちはあるが、そういう事聞く姉貴は……いやいや、想像しただけで気持ち悪い!
これは一人で、時々帳簿を覗いて毎日の糧にしよう。


「これ……現像は出来たんだけど……」
「なんか、いくつか写真がおかしいんだよな」
「そんな事、ハニーに限っ、て……」

写真を持ってきたナツさん、カっちゃんさん、姉貴の三人が言葉を濁すから、つい気になって俺も覗き込む。
そこには、居なかったはずの客が写り、居たはずの客が写っていない写真があった。

「……まぁ、ハロウィンだしこういう事も有るんだろうね❤️」
「そ、そうだよな!そういうイベントだもんな!」

姉貴がぱん、と手を叩いて笑顔を作り、それっぽい事を言った姉貴に乗っかる形でごまかす。
ハロウィンだからだよな。
……そうだよな!?

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