C417話
freeze
今日はハロウィンイベントなので、バータイム以外はテイクアウトのみだ。
久々にゆっくり寝た気分だ……昼や夜の仕込みは朝からあるから、気分だけだが。
br
「……よし、数はあるな」
br
しっかりと指をさし、数を確認する。
プレゼントのお菓子の中身はかぼちゃのタルト、さつまいものクッキー、フィナンシェだ。
タルトにはチョコソースで顔を描き、クッキーはさつまいもの輪切り風。
フィナンシェにはかぼちゃソースを中に注いで、ちょっとしたサプライズ方式にしてある。
こういうのは楽しみがあった方が受けがいいからな。
br
「ラッピングは姉貴に任せるから……あー……」
br
この後あの部屋に入って叩き起こす事を考えて憂鬱になる。
折を見て掃除してるのに、なんで数日であんな汚部屋に戻るんだ?
姉貴の事だ、どうせ起きてなんかいねえだろう。
ガンガン、と乱暴にノックをしてドア越しに叩き起こす。
br
「姉貴ー、ハロウィンのラッピング任せてえんだけど!」
「今行くよ。それと、そんなノックをしない」
「なんだよ、起きてたのかよ」
「間に合わないだなんて、ハニー達に失礼だからね」
「……あー、うん。そうだな」
br
俺に向かってウィンクをキメられても困るし、何よりいつもギリギリのやつが言う言葉じゃねえだろ。
br
「さ、早く準備を済ませないとね!」
br
姉貴がラッピングを手早くこなしていく最中に、今日の流れを伝える。
あんまり意味があるとは思っていないが、伝えておいて損はないだろう。
br
「よし、コレで終わったし……うん、時間もちょうど良いし開けちゃおっか。ハニー達も外で待ってるしね❤️」
br
そう言われて窓を見てみると、確かに仮装している子供達が見えた。
姉貴が鍵を開け、ハロウィン仕様のプレートをオープンへと向きを変える音が聞こえる。
いつもよりも高めの声で騒がしくなる中、挨拶をかける。
br
「いらっしゃいませ、カフェバーC4へようこそ」