突然の無理解と理解
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「……うふふっ」
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思わず笑顔がこぼれる。
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情報と食事を、同時に得る事が出来たのは有難い。
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親切な……半裂ラムと名乗ってきた元一見三聞のメンバーが色々と教えてくれたお陰で、ここでの生活は随分と捗っていきそうだ。
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本部で会っていたらしいのだけれど、あの時は所属するのに必死だった為覚えていない旨を伝えても親切なままだった。
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どうも質問の意図を、深く読み取られ過ぎていた気はするが……。
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ああいう無駄に優しさを振り撒くような存在との出会いは大切にしていきたい。
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今後、役に立ってもらいましょう。
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「お姉様、お帰りなさいませ」
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「ただいまメイ。マサヨシ君には会えた?」
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「会えたんですけど……」
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「けど?なにか問題でも起きたの?」
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会えたならば、やはり世界接続はうまくいったとみていいだろう。
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しかし、会えたけど……?一体どういう事だろうか。
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「マサヨシさんにご説明したんですが、どうもご理解されてないご様子で……あっ、私の説明が悪いんです!
だからうまく伝わらなかっただけで、マサヨシさんは悪くないんです!」
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そうきたか。
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そんなに複雑な事を説明する様には言っていないつもりだったけれど、彼にはそれでも難度が高かったようだ。
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「……そのつもりは無かったのだけれど、最悪来てもらうのが一番理解しやすいのかも知れないわね」
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「で、でもまたあんな魔獣に襲われなんてしたら……」
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「その時一緒なら安心じゃない」
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「そ、それはそうかも知れませんけど……でも、それで勝てなかったら……」
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「メイ、それはマサヨシ君にも失礼な発言よ。それに、勝てると思うわよ?」
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「す、すみません!」
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私の使役する悪魔でも、下位で十分勝てたのだから二人なら大丈夫だろう。
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そもそも、あの魔獣に逃げていたのはメイがマサヨシ君が居ないから力を発揮できなかったからだ。
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最初からマサヨシ君が居たなら、戦闘は完全に任せるつもりでいた。
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「……とりあえず、新しい家がこの建物って事は理解してもらえた?」
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「は、はい!それは大丈夫そうでした!」
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「なら……私達が落ち着いた頃に、来てもらいましょうか」
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彼がこちらに来るなら、メイを任せて私は自由に行動が出来る。
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その方が、メイからあのクソッタレの神を早く引き剥がせるだろう。
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「さて、これから楽しくなるわね」
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「は……はい!」
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私の真意を全く感づかないメイの同意を受けながら、私達は家の中へ帰っていった。