C44話 の変更点

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バータイムが始まって1時間。

まだ夕暮れ時とも言えるような時間だが、既に席は7割程埋まっていた。

今夜は飲み物がよく出る日だ。

匂いの立つつまみを仕込むとよく売れるので、オリーブオイルにニンニクを入れて軽く温める。

ニンニクの匂いが店のテーブルへ広がり始め、注文がいくつか入ってきた時にドアベルが鳴った。

本当なら姉貴が対応するべきなんだろうが、今は手一杯だ。

俺が調理場から大声を出して対応する。

まぁ、無視するよかマシだろ。
まあ、無視するよりはマシだろう。
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「いらっしゃいませ、カフェバーC4へようこそ!空いてる席へどうぞ!」
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やってきたのは顔の厳つい男と、センター分けの女だった。
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「はーい!あ、あそこちょうど空いてるしカウンター行こっか!」

「……ん」
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シュンさんとハルさん。

この2人はそこそこの常連だ、多少おざなりにしても大丈夫だろう。

ま、そこは信頼関係って奴だな。
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「あたしはミモザね、シュンは?」

「じゃあ、オレンジエードで」
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ササっと作れるドリンクを頼む辺り、この2人は本当によくわかっている。

調理の隙間を縫って作ったカクテルを2杯カウンターに置く。
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「忙しそうだし、あたしが運ぶから良いよ」
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姉貴が運ぶ間も無く自分達で取り、ついでとばかりに調理場を覗き込んできた。
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「ありがとな……って、おい、乗り出したら危ねぇぞ?」
「ありがとな……って、おい。乗り出したら危ねえぞ?」

「いや、美味しそうな匂いだなーって……具材の予定は?」

「エビとホタテ」

「そしたらそれもふたつ!」
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下拵えは済ませているので、エビとホタテを入れたら味が染みるまでは油温が上がり過ぎないよう時折見ておくだけだった。
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