突然の同類の人間 の変更点

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クリーム色のシャツに紺のブレザー風の上着、グレーのチェック柄のスカート。
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重ためのピンク色の前髪からは、睨みつけるような目つき……先程までここにいた筈の女性とはまた別の、値踏みするような視線を感じた。
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小首を傾げながら、失礼と知っていながら質問で返す。
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「私達の事です?」
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「そうだけど?この辺の住民は皆把握してるから」
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ぴり、と相手の神経が昂るのを読み取る……この状況では連戦は控えたいのだが。
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「私は堂々聖。隣のメイと、一見三聞に所用があって参りましたわ」
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「堂々命です……な、何か失礼でもしてしまいましたか……?」
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「いや、別に……私は輪島いまいね」
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背中を見せてくる相手の雰囲気からは、敵意は既に感じ取れなかった。
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……先程の事もあってか、考え過ぎだったのかも知れない。
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「ここで一見三聞に用があるなら本部の事でしょ?案内するから着いてきて」
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「ありがとうございます、メイ、行きましょう」
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「は、はい!」
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メイにも警戒を解かせ、案内に素直に従う事にする。
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罠かも知れないが、相手を下手に刺激しない方が良い気がした。
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「2人とも人間から外れ始めてるけど……ギリギリ庇護対象かな」
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ボソリ、と聞こえた言葉に恐怖と安堵が芽生える。
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あの短時間の会話で私達姉妹の事を見抜いた?
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……やはり、従うしか選択肢はなさそうだ。
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そう思ってはいたが、意外にもすんなりと一見三聞本部へと辿り着いた。
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二人で深々と頭を下げ、感謝を伝える。
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「ありがとうございました、御礼には何を……」
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「私、自警団みたいなもんだしお礼なんていいよ」
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「自警団なんて、凄いですねお姉様」
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「別に珍しくも何ともないけど……余所者には珍しいかも知れないけど
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「……そうですわね」
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彼女からの言葉に若干ではあるがトゲを感じ、返答が遅れる。
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そこまで排他的、閉鎖的な場所なのだろうか?……あの壁と門を考えると、有り得ないとは言い切れない。
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「あー……別に、あんた達に対して何かある訳じゃないんだよね」
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「そうなんです?てっきり、案内までして下さった貴方に対し、私達が何か失礼でもしてしまったのかと心配しましたわ」
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バツが悪そうに苦笑しながら右手でうなじを搔く姿に、頬に手の平を当てた笑みで返す。
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……そんな至って平和な光景だったのが一変、彼女が苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべて言葉を吐き捨てる。
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「神かなんかに巻き込まれたんでしょ?ふざけた話だよ全く」
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「あら、何かあったんですの?」
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神の使いたるメイと何か過去にあったであろう彼女、両方を刺激しないよう神経を尖らせながら質問する。
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下手すると二人が殺し合いになりかねない。
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「……まぁ、人間には関係無い話だよ。さ、行った行った」
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相手が詮索されたくないのか、意図的に話題を切られてメイと共に背中を押される。
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開け放された扉の先には、巨大な樹が植わっていた。
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