C41話 のバックアップ(No.1)


昼は喫茶、夜は酒場。

 

C4。

正式に言えば「カフェ・クロスキュリオスカウンター」……日本語に訳すと、「奇妙な縁が交差するカフェバー」だ。

カフェバーは日本語じゃねぇ?別に細かい事はいいだろ。

長ぇから、縮めてシーフォー。中々いい名前だろ?

 

……と、満席にも関わらず、何でキッチンの俺がこんな紹介出来るのかって?

ホール、覗いてみろよ。

 

「やぁハニー❤今日も来てくれたんだね、とっても嬉しいよ」

 

「ア、アサヒさんこそっ❤今日もとっても素敵ですっ❤」

 

「そんな事ないさ……ハニーの方が、ずっと、ずっと素敵だよ?」

 

「そ、そんな……アサヒさん……❤」

 

な?見りゃわかんだろ?

 

姉貴に夢中な上に、姉貴もくっちゃべってばかりでオーダー来ねぇんだよ。

 

で、この後姉貴が煽ったら注文が殺到すんだぜ?ふざけんなよマジで。

 

愚痴を喋りながらも、茹で時間の有るパスタなどを茹でていく。

 

そこは弟だからな、大体は予測で動けんだよ。

 

看板に書いてある今日のオススメメニュー、パスタだしな。

 

「さて、ハニー達、そろそろお腹が空いてきたりはしてないかな?今日のオススメはコレなんだけれど……」

 

「はい……お願いします❤」

 

「僕も!」

 

「俺、今日いっぱいお腹空かせてきたんでふたつで!」

 

「私もふたつ……いいですか?」

 

「勿論だよ、たくさん食べる子も、少し食べる子もみんな好きだな」

 

「キャー❤」

 

「アサヒさん最高ー!」

 

こいつら姉貴の本性を知らねえから平気で最高とか言えんだよ!

 

あの姉貴のせいでどれだけ俺が迷惑を……やべっ!

 

「……ユウヒ?誰かと喋ってた?」

 

そう言われて、今まで語りかけていたはずの相手が見当たらない事に気づく。

 

……まあいいか、変に姉貴に見つかってもややこしくなりそうだ。

 

「……いや、一人で姉貴の愚痴言ってただけだよ」

 

「今日のパスタ9とオム2、それとBLT3ね」

 

そう言って俺にウインクすると、客から呼ばれて笑顔でホールに戻っていく姉貴。

 

ふざけッ……いや、何を考えても今は意味はない。

 

俺は今、目の前の調理に徹するロボだ。ロボだから姉貴への怒りも沸かないんだ。

 

そう思わないと、やってられなかった。