彗星は兎の如く

Last-modified: Sat, 18 May 2019 02:16:19 JST (1828d)
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マッダー「キッパー、あれ見てよ!」

 

キッパー「何だ、騒々しい」

 

マッダー「だから、あれだってば!あれ!」

 

キッパー「隣で叫ばなくとも今から見てや……ッ!何だ、あの輝きは!」

 

マッダー「だから見てって言ったのに」

 

キッパー「国の外周を兵で固めねばな……襲来に備えなくては」

 

マッダー「僕は何をすれば?」

 

キッパー「貴様には何もする事などない」

 

マッダー「つれないなぁ」

 

キッパー「……万が一の可能性を考慮するならば、身を隠しておけ」

 

マッダー「えー、キッパーの隣に」

 

キッパー「邪魔だ」

 

マッダー「わかったよ……」


モント「月から、光が……」

 

雷火「ねえねえねえ二人とも!アレ何!?ねぇわかる!?」

 

史徒「……いやはや、僕にも……すまない、雷火」

 

モント「私にも、ちょっとわからないですね……」

 

陸「アレはね、月から兎が降りてきた時、羽衣から出る光だよ」

 

史徒「!?」

 

モント「あ、芹沢さん」

 

雷火「月から兎が降りてくる?」

 

陸「そう、月には色々住んでるけど、これは兎の光」

 

モント「色々光が違うんですか?」

 

陸「そうそう、飛ぶのに使う道具によって違うの」

 

雷火「兎って、光るんだ……」

 

史徒「違うと思うが」


弥彦「何だアレは……」

 

いまい「絶対人外の仕業」

 

弥彦「いまいさん落ち着いて、ウタコさんはどう思われますか?」

 

ウタコ「私はアレがカステラだったら良いな、って思う」

 

いまい「……」

 

弥彦「……」

 

ウタコ「あれ……ダメ?」

 

弥彦「良いですね」

 

いまい「可愛いから許す」

 

ウタコ「やったー!」


リプレ「あれ、なんだ!?」

 

スリート「あんなお星様、見た事ない……」

 

アイシーン「心配しなくても大丈夫よ」

 

トゥヴァン「なぁに、何か有ればコイツが何とかするだろ」

 

コア=トル「簡単に言うね!?」

 

トゥヴァン「伝手とか有るんだろ?」

 

スリート「コア=トルちゃんすごーい!」

 

リプレ「どうしようもなかったら、わたしがうちぬいてやるからな」

 

コア=トル「失敗する前提やめてくれない!?」

 

アイシーン「……悩んでいても仕方が無いわ、今ホットミルクを持ってくるから、飲んだらスリートは寝なさい」

 

スリート「はい、師匠」

 

リプレ「わたしも」

 

アイシーン「はいはい」

 

トゥヴァン「……で、実の所どうなんだ?」

 

コア=トル「多分私だけで何とかなるとは思うんだよね」

 

リプレ「うちぬかないのか?」

 

コア=トル「うん、相手確実に死ぬね」

 

アイシーン「あら、何かの隕石とかではないのね」

 

コア=トル「そしたらリプレの力を借りるしかないね」

 

リプレ「そのときは、わたしにまかせるといいぞ!」


千方「……ミナギリ、空見たっスか?」

 

水霧「見たけど……」

 

昴「何かアレについて意見はあるか?」

 

至「有るよー!」

 

昴「何だ、二荒」

 

至「僕はあれー、彗星じゃないかと思ってるんだけどー」

 

輪音「私の計算式では今は彗星は来ない時期よ」

 

昴「だ、そうだ」

 

至「ギルド長ならまだしも白浜が言うなら違うのかー……」

 

昴「……今は緊急時だから不問にしてやる、他に心当たりはあるか?」

 

輪音「私なら有るわよぉ?」

 

昴「それを先に言え」

 

輪音「玉兎の移動が、確かこんな見た目だったと思うのだけれど」

 

千方「玉兎って……月の兎っスか!?」

 

輪音「そうよ」

 

水霧「……大丈夫なの」

 

輪音「大丈夫よ、ギルド長が命を散らして何とかしてくれるわ」

 

昴「ふざけんな」

 

輪音「ならこのギルドも解散ねぇ、残念」

 

昴「……玉兎なら話が通じない程ではねぇだろ、天狗よかマシだ」

 

至「本当に何とかなるのー?」

 

千方「心配っスね」

 

昴「お前らよりは何とか出来る!」


ペッポー「アレは絶対玉兎だって!」

 

徳丸「その為だけにココまで来たッてかァ?ご苦労なこったなァ!」

 

ペッポー「お前信じてないだろ!僕は正しいんだぞ!」

 

徳丸「獣用の罠に引っ掛かってるテメェが言う説得力って一体何なンだろォなァ?」

 

ペッポー「じゃあ外せ……待てー!僕を置いてくなよー!」


ラム「あの隕石見まシタか?」

 

文「嫌な光よね~」

 

寸「……まず、隕石……なの?」

 

ラム「私ニモよくわからナイんデスよね」

 

文「お姉ちゃんもよくわからないわ~」

 

寸「……姉さんには、期待、してないから……」

 

文「寸ちゃん酷いわ~」

 

ラム「……文サンを見てイタら、何だか元気にナリました」

 

文「あら〜、そうしたらお会計は~」

 

寸「姉さん」

 

文「冗談に決まってるじゃないの~」

 

ラム「じょ、冗談には聞コエませんでシタが……」


ながし「おかしいですね……もう2週間経ちますよ」

 

ラバック「誤報じゃねぇかよう?」

 

ながし「玉兎様に限ってそんな筈が有る訳ないじゃないですか!?」

 

ラバック「……でも、そうでもないと説明がつかねぇよう?」

 

ながし「それはそうなんですが……」

 

ラバック「事故なんてもっと有り得ねぇよう?」

 

ながし「……なら誤報ですかね……?」

 

ラバック「あ!ながし空を見ろよう!」

 

ながし「あの輝きは絶対玉兎様ですね!」

 

ラバック「……このままだと僕達が聞いていた場所とは全然違う場所に着くよう?」

 

ながし「走りますよ、ラバック!」

 

ラバック「……こっちだよう?」

 

ながし「た、試しただけです!」


到着予定地点からの誤差は殆ど無い。

 

多少の誤差も、飛行距離を考慮すれば問題の無い範疇の数字。

 

見下ろしても明るくはなく、見上げても青い光はなく。

 

その青は、今踏みしめている茶の色に。

 

明るかった地面は、今は暗く陰っている。

 

私は、月から降り立ったのだ。

 

この私の素晴らしさを、広める為に。

 

そう、私の名前はミキ・ユタカ・プロセラルム。

 

「素晴らしき明月鏡から降りてきた、玉兎ですわ。」