家建てたった

樹「また、ですか」

永住人「ごめん……いやマジで本当ごめん」

楓「ただい……い、家が焼けている！」

永住人「寝ながら料理したら家焼けたわ」

楓「家をウルトラ上手に焼いてんじゃねーよ！」

樹「そもそも寝ながら料理をしないで下さい」

永住人「まぁまた建てればいいんじゃね？」

楓「これから毎日家を建てては焼いて建てては焼いてこうぜ」

樹「やめて下さい」

永住人「あー、久々過ぎて家どうやって建てるか忘れたわ」

楓「確か、床と壁と屋根と……」

陸「ねぇ、楓居るー？……何この……この、立方体！」

永住人「楓が建てた家だけど……」

陸「どこからどう見ても家じゃないよこれ！そもそもドアすら無い家って何なの！？」

樹「二階の窓から入るそうです……」

陸「いやいやいや、どこからが二階なの！？窓も無いし！」

陸「せめて屋根をつけてあげるね！」

永住人「マジでか！流石に家焼いた責任感じちゃってさ、楓に文句言えなかったんだよね」

樹「そもそも家を焼かなければ建てる必要も無かったんですけどね」

陸「私の家と同じ三角屋根でいい？」

樹「勿論です、屋根が有るだけで印象も随分と変わると思いますし」

陸「はい、出来たよ！」

永住人「こ、これは……！屋根がデカイ！デカすぎる！」

樹「まさか、陸さんの家と全く同じサイズの三角屋根だとは……」

陸「え？同じで良かったんでしょ？」

永住人「……どうするよ樹っつぁん」

樹「無いよりは、マシだとしか……」

陸「もっと褒めても良いよ！」

永住人「お、おう」

永住人「その辺のドアを家にくっつけるのはどぁ？」

楓「却下」

樹「却下」

永住人「どっちの意味でだよ」

樹「ギャグにしても無理矢理過ぎます」

楓「もう家として完結してるんだけど？というかなんだあれ？屋根でかくない！？」

永住人「陸がつけてった」

楓「サイズ合ってないから壁と屋根の間に随分と隙間が」

永住人「それな」

楓「屋根ってさ、そんな適当につける物じゃなくね？」

永住人「立方体を建てた奴が言うなや」

楓「だってさ、ここ雨も雪も降らないから屋根として問題ないじゃん」

樹「それでも窓とドアが無いのは家として不成立していると思いますよ」

永住人「窓？この立方体多分木製だから少し切ればいいんじゃない？」

楓「焼いて穴を作ろう」

樹「やめて下さい」

永住人「仕方ない……どっか手頃なドアを探してくる」

樹「網戸とかは駄目ですからね」

楓「だからってトイレのドアも嫌だけど」

永住人「わかってる、わかってるって！電車のドアで良いんでしょ？」

樹「この立方体に電車のドアはちょっと……」

楓「めっちゃ田舎の車両感出るな」

永住人「……よく考えたら引戸は嫌だからやめるわ」

楓「いってらー」

永住人「唐突なんだけどドア持ってる？」

コア＝トル「唐突な上に斬新過ぎる」

永住人「樹っつぁんがうるさくてさ……」

コア＝トル「え？あんなにドアあるのに？」

永住人「それ使うのはまずいって！」

コア＝トル「んー……このドアでいい？」

永住人「これなら怒られなさそうな感じだわ！ありがとう！」

永住人「ドアドアドア」

楓「ドアドアドア、ドアドア？」

樹「ふざけてないで早くつけましょうよ」

永住人「うい」

楓「お、家っぽくなった？」

樹「やっぱり立方体は家に見えませんでしたからね」

楓「新築祝いにリプレ呼んどいた」

樹「この家でですか……」

リプレ「なんか、このドア……どっかでみたことあるな」

トゥヴァン「おい、家のドア……どこにやった？」

コア＝トル「あぁ、あげちゃった」

トゥヴァン「そうやって考えなしにポンポン配って回るからいつまでも金が足りなくなるんだよこのアホ神が！」

コア＝トル「えっ……まずかった？ごめん」

トゥヴァン「マズいに決まってるだろ！返してもらってこい！」

コア＝トル「無理」

トゥヴァン「なら別のドアを持ってこい！！」

コア＝トル「という訳で、ドア下さい！」

アイシーン「あげたいのは山々だけれど、余ったドアは流石に無いわよ……」

リプレ「あぁ、あそこのだったのか！」

アイシーン「あらリプレ、何か知っているのかしら？」

リプレ「……きのせい」