単発集18

Last-modified: Wed, 15 May 2019 17:33:47 JST (1830d)
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昴「珍しいな、一匹か」

 

マッダー「いやぁ、キッパーに追い出されちゃって」

 

昴「理由は珍しくも何ともねぇな」

 

マッダー「仕事に集中したいから、って……ひどいよね」

 

昴「酷くはねぇだろ……」

 

マッダー「君はどうせサボってるんでしょ?」

 

昴「半分な」

 

マッダー「下半身が仕事してるんだね」

 

昴「どういう事だよ」

 

マッダー「上半身はどう見てもサボりにしか見えなかったからね」

 

昴「下半身は仕事してる様に見えたのかよ」

 

マッダー「半分ね」

 

昴「下半身の半分って最早片足だけだろ」

 

マッダー「何を言っているんだい?」

 

昴「お前が振った話だろ、責任持てよ」

 

マッダー「僕が今持つべきはこの本だけだよ」

 

昴「何だその本?……あぁ、河童語か」

 

マッダー「飛水君から貰った本だから、多分そうじゃないかな?中々面白いよ」

 

昴「え、お前読めたのか?」

 

マッダー「僕が読める訳ないじゃないか」

 

昴「……いや、それなら何処が面白ぇんだよ?」

 

マッダー「うーん……読めないところ、かな」

 

昴「お、おう……」


スリート「あれ?師匠のメモだと青くなるはずなのに……」

 

コア=トル「書いてないけど水銀追加してみたら?」

 

スリート「……コア=トルちゃん」

 

コア=トル「ん?何?」

 

スリート「真剣だからちょっと静かにしてて」

 

コア=トル「がびーん」


雷火「コレなんて読むの?」

 

史徒「はんごうすいさん、だが……この程度は教養として学んでおくべきではないかね?」

 

雷火「うっ……バカって言う方がバカなんだもん史徒のバーカ!」

 

史徒「……僕は莫迦だとは言っていない上、君程の馬鹿ではない自負は有るのだがね」

 

雷火「史徒のそういうとこ嫌い」


マッダー「裁縫針の修繕をお願いしてもいいかな?」

 

寸「……その程度なら、直ぐ出来るよ……」

 

マッダー「君の腕は毎度の事ながら素晴らしいね」

 

寸「この程度、誰にでも出来るし……凄く、ないよ」

 

マッダー「作業風景を覗いても良いかい?」

 

寸「……邪魔しなければ」

 

マッダー「勿論邪魔なんかしないよ」

 

寸「なら、いいけど……まず、針の曲がりを……こうやって、確認する」

 

マッダー「ふむふむ」

 

寸「曲がってる箇所を、こう……撫でて修正する」

 

マッダー「えっ」

 

寸「……終わり、簡単でしょ」

 

マッダー「な、なるほどね……次からも君にお願いする事にしたよ」

 

寸「……どうも」


寸「……いつも姉さんが、ごめん」

 

雷火「な、何で私に言うの?」

 

寸「……聞いてもらえない、からかな……」

 

雷火「んー……?誰に?何を?」

 

寸「河童の彼に、謝罪……中々、会えなくて」

 

雷火「なるほどね!わかった、代わりに言っておくね!」

 

寸「……何度も、繰り返してるのにさ……毎回聞くよね」

 

雷火「あ、あはは……」


文「寸ちゃん~、面白い言葉を聞いたのよ~!」

 

寸「何」

 

文「怒ってる時に使うらしいんだけど~……鬼おこ~」

 

寸「……」

 

文「私が言うと怒ってるように聞こえないでしょ~?」

 

寸「……別に」

 

文「そんな事言う寸ちゃんに~、私鬼おこよ~?」


文「どう?買ってくれたりしないかしら~?」

 

昴「いや、もう万年筆は持ってるから要らねぇな」

 

文「まぁまぁ~、そう言わずに是非是非もう一本~」

 

寸「……姉さん、邪魔」

 

文「あらあら、寸ちゃんの邪魔しちゃったかしら~?悪かったわね~」

 

寸「……君も、邪魔しないで欲しい」

 

昴「お、おう……冷やかしで悪いな」


文「私はね~、寸ちゃんの事を思って売ってるのよ~?」

 

寸「……姉さんのは、ただの……押売りでしょ」

 

文「そんな事無いわよ~、寸ちゃんも売れた方が良いと思うでしょう~?」

 

寸「押し付けがましいよ……」

 

文「こんなにお姉ちゃんは頑張ってるのに~、寸ちゃんったらひどいわ~」

 

寸「……客の事、もう少し考えたら」

 

文「あら~、考えてない訳無いじゃない~……多分だけれど~」

 

寸「……売れる事自体は、有難いけどさ……」

 

文「そうよね~、そうよね~!お姉ちゃんまたいっぱい売ってくるから~」

 

寸「雑魚を脅すのは……無し、だから」

 

文「そんな事しないわよ~、ただ話掛けたら買ってくれるだけよ~?」

 

寸「……だから、鬼は嫌いなんだよ……」

 

文「そんな事言っちゃうと~、お姉ちゃん成仏しちゃうわよ~?」

 

寸「何、その脅し……」

 

文「寂しいでしょ~?」

 

寸「別に」

 

文「流石に傷つくわ~」

 

寸「……自分で言った癖に」

 

文「じゃあその辺の人間に無理矢理売ってくるわね~」

 

寸「……何も、わかってないじゃん」


水霧「特注品を作って欲しい」

 

文「内容を教えて貰っても良いかしら~?」

 

水霧「絶対に壊れない盗聴器と監視カメラ」

 

文「そんな物が必要なんて~、物騒な世の中ね~」

 

水霧「我が妹を余す事無く記録する為」

 

文「流石にお姉ちゃんでもドン引きよ~?」


文「あら~、キッパーさん万年筆はいかがかしら~?」

 

キッパー「不要だ」

 

文「そう言わずに一本~」

 

キッパー「買うかどうかは私が判断する事だ、口を出すな」

 

文「いや~ん、怒られちゃったわ~」

 

マッダー「凄いねキッパー」

 

キッパー「不要だと言う事が大変な事とは思わんがな」

 

マッダー「この前は酷い目に合ったからね」

 

文「あら~、買ってくれないからちょ~っとウチの商品棚を割っただけじゃないの~」

 

寸「……直すの面倒だから、やめてよ……」

 

文「買ってくれたらしないのよ~?」

 

キッパー「客を脅して買わせるな、営業停止処分を受けたいのか?」

 

文「それは困るわ~」


文「あら河童さん~、私は今行商してるのだけど~、何か買ってくれないかしら~?」

 

史徒「これはこれは鬼様ではありませんか!私めの様な端妖怪が鬼様が作られた品を購入する事は些か分を過ぎた行いでは有りませぬか?」

 

文「そんな御託は良いから買って頂戴よ~」

 

史徒「……な、何をご購入すれば……」


史徒「僕には不要な品だ、君にやろう」

 

雷火「え!?私だって箸置きが沢山なんていらないよ!というか家にあるよ!」

 

史徒「……良いから、持って帰ってくれないか」

 

雷火「史徒、なんか疲れてる?大丈夫?」

 

史徒「少し放って置いてくれ」

 

雷火「……あ、またなんだ」

 

史徒「今日の君は察しが良いな……」

 

雷火「失礼な!」


リプレ「たのんだゆみ、どうなった?」

 

文「ちょっと待って頂戴ね~……寸ちゃんあの弓はどこに置いたの~?」

 

寸「姉さんの隣、立て掛けてあるじゃんか……」

 

文「あらいやだ~!それでね~、修繕費なんだけれど~……」

 

リプレ「まて、かくにんしてから」

 

寸「……疑り深い」

 

文「寸ちゃんが修理したなら大丈夫よ~」

 

リプレ「いいからみせろ」

 

文「仕方ないわね~……よいしょ~!」

 

寸「……持逃げ、しないでよ?」

 

リプレ「しないぞ!……よし、だいじょうぶそうだな」

 

文「お姉ちゃん自慢の弟よ~!」

 

寸「やめて」

 

リプレ「このふくろのなかみで、かねはたりるのか?」

 

文「……はい、丁度ピッタリね~」

 

リプレ「じゃあ、またこわれたらくる」

 

文「また沢山壊してね~」

 

寸「……姉さん」

 

文「どうしたの寸ちゃん~?」

 

寸「ぼったくりは……良くないと、思うんだけど」

 

文「お金は価値を知らない者が持っていてもどうしようもない物なんだから~、ぼったくる位が良いのよ~」

 

寸「……」


ラバック「おぉ……綺麗に刃毀れが直ってるよう」

 

寸「……もっと早く、持ってきてよ……直すの、大変なんだから」

 

ラバック「そ、そう言われても中々難しい事情が有るんだよう」

 

文「受取りついでに~、このトンカチとか買ってくれないかしら~?」

 

ラバック「そういうのはながしに一度相談してみないと買えないんだよう」

 

文「あら~、あの子もそう言って買ってくれないのよね~、困っちゃうわ~」

 

寸「姉さん、断られてるんだよ……気付いてよ」

 

文「寸ちゃんは何を言っているの~?お姉ちゃんちょっとわからないわ~」

 

ラバック「コ、コレが代金だよう、また何かあれば頼むよう!」

 

文「あぁ~、行っちゃったわ~……残念~」


昴「その帽子中々良いな、何処で売ってるんだ?」

 

寸「別に良くないよ……自分で作った、だけだし……」

 

文「幾らで欲しいのかしら~?」

 

寸「姉さん……関係無いんだから、黙ってて」

 

昴「いや、買えるなら買いたい位だな」

 

文「そうね~、材料費も含めると~……この位かしら~?」

 

昴「……高ぇな」

 

寸「……姉さん、ぼったくり過ぎ」