人間、神隠しに遭った

弥彦「……どこだここは？」

コスプレにしては完成度が高過ぎる人達が大勢闊歩している。

同じ様に、建物もコンクリート製の直方体に限らず、様々な建築様式が伺える。

こんな中で生きていかねばならないのか？

……そう思っていたら、地面に落ちていた楓の葉が光り、目が眩んだ。

楓「おい、私の事踏んでんじゃねぇよ」

弥彦「葉、葉が人に……！？」

楓「人形（ヒトガタ）みたいな物だと思いな、まぁ優しい私が軽く説明してやるよ」

弥彦「ひ、人形ってどういう」

楓「あーなんか面倒になってきたわ、皆バラバラに病気になーあれっ、っと」

弥彦「……何を馬鹿な事を」

楓「病院に戻りな」

弥彦「ひ……1人でか？」

楓「チキンかよ！……仕方ない、こんなカッコなら違和感無い？」

弥彦「サングラスを掛けたナースは違和感しか無いな」

楓「これ私のアイデンティティだから、無いと困る」

弥彦「いやナースとしておかし……うおっ！」

楓「押すの面倒だからね、神通力様々やでぇ」

弥彦「のっ……とっ、とっとっとう！？」

楓「おー先生バッチリ椅子に座ってんじゃん、はい次の方どうぞー！」

弥彦「こ、これのどこが説明なんだ……！？」

リプレ「はらいたい」

弥彦「腹痛ですか……にしても体デカイな」

リプレ「なに」

楓「先生、失言ですよ」

弥彦「あ、あぁ……あぁ、すまない、気にしないでくれ」

リプレ「そうか」

弥彦「では聴診器を当てるから服を……どうすればいいんだ」

楓「胸当てを外していただけます？」

リプレ「おやすいごよう」

弥彦「む、胸当て……」

リプレ「これでへいきか？」

弥彦「あぁ……では聴診器を当てるから……ん？」

楓「どうされました？」

弥彦「いや……そんな、まさか……」

リプレ「あ」

弥彦「どうしました？」

リプレ「わたし、ちょうしんきはいみがないぞ」

弥彦「い、意味が無い……？」

リプレ「ぞんびみたいなもんだから」

弥彦「ゾ、ゾンビ！？」

楓「先生落ち着いて下さい」

弥彦「ゾンビ……どうすればいいんだ……」

リプレ「くすりくれればのむぞ」

弥彦「何を出せば……ゾンビだと代謝が無いのか……？」

楓「先生処方箋出来てるじゃないですか」

弥彦「！？」

リプレ「はやいな」

楓「ではお大事にどうぞー……っと、わかった？」

弥彦「わかるか！！」

楓「こういう風に人外が来るから」

弥彦「い、意味がわから」

楓「次の方どうぞー」

弥彦「人の話を……！」

昴「恐らく食中毒だから胃薬をくれ」

弥彦「俺より顔が良いだなんて……負けた……」

昴「は？」

楓「また変なご飯頂いたんですか？」

昴「ミナギリ的には変な自覚が無いのが……ぅぷっ」

弥彦「吐くなら洗面器に吐いてくれ」

昴「いや……大丈夫だ」

弥彦「ふむ……食べた物としては食中毒と言うよりは食あたりだろう……ゴーレムの目玉ってなんだ……」

昴「ゴーレムの目玉は食い物じゃねぇよなやっぱり……」

弥彦「ゴーレム……」

楓「さ、処方箋です、お大事にー」

弥彦「……あの……幻日？変な苗字だな」

楓「アイツ見た目だけは名前負けしてないよな」

弥彦「確かに顔は整っていたがそうではなく」

楓「あぁアイツ超能力者だから」

弥彦「馬鹿な」

楓「ちなみに私は神ね」

弥彦「なら俺は何だ？」

楓「人間は人間だろ……」

弥彦「……わかったようなわからないような」

楓「あと気をつけるなら……夜は出歩かないが吉」

弥彦「何でだ？」

楓「吸血鬼とか出るよ」

弥彦「なんでも有りだな」

楓「あと兎も出る」

弥彦「兎は気をつける必要も無いな」

楓「兎舐めてると吸血鬼がきて死ぬけどな」

弥彦「！？」

楓「まぁ慣れれば夜でも大丈夫だろうけどなー、んじゃこれで私は帰るから」

弥彦「ま、待ってくれ、まだ聞きたい事が」

楓「うるせぇ本で調べ物でもしてみろや」

弥彦「……また葉に戻ってしまった……」

弥彦「本と言ってもここには当然医療の本しか……有った」

弥彦「どれどれ？『5分でわかる』この世界」

弥彦「……説明が面倒になったんだろうか？まぁ一度目だけ通して……」

弥彦「なるほど……中々面白く……」